伝説のVMDメルマガ 学ぶよりも生み出す、真似るよりも真似されるコト
今日も小売の最前線でお仕事をされている方を迎えて、お客様に商品を購
入していただくことの楽しさや、難しさについて熱く語っていこうと思っ
ておりますので、閉店まで是非お付き合いくださいね。
GUEST NO.28
一人酒編です。
この地震の影響もありまして、今回は一人カウンターでここ最近の売場事
情について語ってみたいと思っております。
博多から、二子玉川と2011の前半戦の大きなオープンが終わったのですが
まず、今年もこのようなオープンに仕事として関われたことを感謝します。
今回はアパレル以外の業態での仕事でしたので、新たな取り組みや施工・
設計等の仕事も関わるコトが出来まして、私自身は満足している状態です。
ただ今回の一人酒編では、アパレル業態のVMDについて特に語ってみた
いと思っております。
※自分が関わる店舗が無かったので、色々言いやすいということも若干あ
ります。申し訳ありません。
さて、本題に移りますが、昨年からというか継続的な傾向ではありますが
本当に似た商品・似たような売場が多くなってきました。特に大手セレク
トショップ系は店舗ロゴを隠すと、殆ど一般のお客様目線では店舗の見分
けなど付かないでしょうね。
VMDのVMにはヴィジュアルマーチャンダイズと、ヴィジュアルマーケ
ティングの2通りの意味が含まれているのですが、あまりにトレンド要素
を同じ解釈?真似?的に進めていくと同じ館内でも、こうまで似たような
商品と売場が作れるのかと、ある意味驚き実際に出店した、方々はどう感
じたのかと思うほどでした。
特に二子玉川ライズはその傾向が大きく、店舗ではなく、商品で売場を選
ぼうとしても似た商品があまりに多く展開されている結果、結局値段で
選んでいるお客様を多く目にしました。
VMDではなく、MDの問題点が大きいと思うのですが、VMDに力を入
れる?ということが、表現は間違っているかもしれませんが、かえって同
質化を招いているようにも感じてしまいます。
これには、商品や売場作りの情報が一般的になってきており、書籍やセミ
ナーなどで話される内容も、画一化しているということが原因のひとつに
もなっていると考えています。
例えば一般的な陳列のルールなら、「小さいものは上に展開」というルー
ルがありますが、商品の視認性だけを考えるならば、上に大きな商品を並
べた方が無駄なPOPをつける必要も無く、商品のみでも通路からの視認
性がグーーンと向上します。
特にスーパーやドラッグストアでのゴンドラ什器では、大きな商材を上に
中段に小さい商材、下段に中サイズを上向きに陳列する。
こんな、方法を導入すると売り場の方々も驚きはしますが、実際に目で見
て手に取ると、「コッチの方が良い!」と即決で陳列のルールが変更され
ていきます。
やはり、考えずにルールや一般的になっている情報に頼るコトが売場作り
に置いても一番怖いことなのです。
また、トレンドのマーケティングを行えば、企画に関するリスクは軽減さ
れるかもしれませんが今現在の動向をみると「世の中に無い価値を提供す
る」っていう本質からは少し外れてしまっている動きが王道となっていま
す。
全くもって高尚なことを言うつもりもありませんがもっと自社のアイデン
ティティーや、ブランドのアイデンティティーを強烈に訴えて行くことを
楽しめる商品と売場作りが出来るといいですし、僕らもその為のお手伝い
が出来る存在であろうと思います。学ぶよりも生み出す、真似るよりも真
似されるコトがファッションの楽しみですからね。
来月からまたゲストを向かえてPAL’S Barを再開しますが、今後海外にも目
を向けたうえで、表現すること、伝えることの大切さと素晴らしさについて
もっともっと深くそして楽しく色んな方々と話し合いたいと思っておりま
す。
今後ともよろしくお願い致します。
ではまた次回のPAL’S Barでお会いしましょう。
深澤 智浩
株式会社深澤企画 代表取締役
パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。