伝説のVMDメルマガ 『TV通販界 一瞬の売り上げに命をかけた男』
今日も小売の最前線でお仕事をされている方を迎えて、
お客様に商品を購入していただくことの楽しさや、
難しさについて熱く語っていこうと思っておりますので、閉店まで是非お付き合いくださいね。
GUEST No.14 『TV通販界 一瞬の売り上げに命をかけた男』
バタンッ(ドアの開く音)
「いらっしゃいませ」(私、以下Fで)
「こんばんは、深澤さん。」(以下D)
「どうも、いらっしゃいませDさん」
ゲストの紹介
Dさんは、某TV通販を中心に飛躍している、某アパレルメーカーの商品MD
担当者であり私の良き相談相手&兄貴的存在です。
Dさんは、この日某GIRLS COLLECTIONを観覧後、PAL’S Barで飲みなおしに
いらっしました。
F:いやー、いらっしゃいませ、いつも本当お世話になっております。
D:イヤーーー疲れた。今、見てきたよ、GC
F:如何でした?
D:最初からずっと見てるけど、やっぱり回を増すごとに、お金の匂いがキ
ツクナルネ!!!
F:滅多なこと言わないで下さいよ。後から書けないじゃないですか・・・
D:正直な感想だからしょうがないね。
F:とりあえず何を飲みますか?
D:ハイボール!!!
F:相変わらずですね!!
D:好きな物は変わらないんだよ
F:今日はちょっとTV通販の世界のことをお聞きしたいんですが・・・・
D:いいよ、でもすごくシビアだよ(笑)
F:興味ありますね。
D:とにかく、店舗をもってる会社の人はね、顧客思考とか、顧客目線とか
言うけど、僕らの業界は分単位でお客様からの注文を頂くし、分単位で
業績が決まるから、正直、僕らの置かれている状況から考えると、リア
ル店舗の顧客目線なんて甘甘だよ。
F:と、言いますと・・・・・・・
D:まずね、TV通販って番組のディレクターと進行役の女性司会者に商品
プレゼンするのよ。
その時点で、かなり凹むほどお客様から注文を頂く為の商品のセールス
ポイントについて説教をされるのよ!!こっちの商品へのこだわりなんて
お客様のそれに、まったく当てはまらなくて、何気なく言った一言とか
に凄く反応されちゃう訳さ!!
「それがお客様にとって大事だって!!」「もっと、お客様のこと勉強し
なさい!!」なんて普通に言われるからね
F:なるほど 凄いですね。
D:そうだよ、進行役の女性は番組放映中にインカムつけて、注文状況を常
に聞いてるし、後から録画した番組を見て、自分が言った一言の何処に
お客様が反応したかを、かなり細かく情報収集できるから、相当に、わ
かってるんだろうね、お客が買う瞬間を。
F:・・・・そうなんですね・・・・
D:例えばね、5品目出品しても、リアルタイムで注文を聞いて進行してる
から、注文状況が悪いと、どんどん次の商品に進んでいくわけ。だから、
となりで出演していても、一言も商品説明できないで終わる商品が結構
あるんだよ。お客様のバイイングポイントだけが重要ってことね。
F:そうですか、分かりやすいですけど厳しいですね。
D:そうだよ。10分で数百万の売り上げを上げるって、凄い厳しい世界な
んだよ。一秒一秒、お客様に、自分がやってきた仕事の審判を下される
状況だね。だから、とりあえず売れるだろうなんて、口が裂けても言え
ない。お客様との会話もなく、一方通行な状態だからこそ、本気でお客
様の心理や購入動機について考え抜くわけ。
F:素晴らしいですね。
F:うーーん、僕、思うんですけど例えば さっきごらんになってきた某某
GIRLS COLLECTIONもTV通販も、それに魅了されるお客様のキーワード
は近いですよね。
D:学習能力が上がったね。
F:コンセプトの体感と参画性そしてゲーム感覚とライブ感ですよね。
D:また、難しく言うなよ・・・・・
F:すいません。
D:でも、そんなとこだね。
F:市場の競り・ネットオークション・TV通販・そして最近の某GIRLS
COLLECTION 全部、さっきのキーワードが当てはまりますからね。
D:結局、商品のクオリティーも大事だけど、買う理由・買える場所に行く
理由。とにかくお金を使う理由は、分かりやすいほうが良いんだよ。
F:商品は衝動的に買ったとしても、お金を使う場所に行くことや、お金を
使う環境に自分置く事には、理由が明確な理由が必要ですモンね。
D:そういうこと、わかってきたねVMDコンサル!!!
F:・・・・・・・・考えてますよ、色々と・・・・
D:じゃー、うちの会社もリアル店舗作るから、この店に行く理由を考えて
よ!!依頼するから!!
F:マジですね。
D:リアル店舗のことは分からないことが多いから任す。
F:ありがとうございます。
D:じゃーーそろそろ帰るね。
F:了解しました。今日はありがとうございました。
D:店舗出して売れなかったら、責任とってね。
F:・・・・・・ハイッ・・・・そうくると思ってました。
D:じゃーー
僕に対しても、お会いするたびに毎回厳しいことを躊躇なく言って下さるD
さんだからこそ、一見フランクに話しているようなことの中にも、常に小売
の真理を感じさせてくれます。
僕の最近仕事の中にも、新規ブランドの立ち上げの仕事が多いのですが、
VMD的な視点から、お話させていただくと、お客様が来店される理由、買
い物をする状況に身をおいていただく理由をどれだけ積み上げるかが、非常
に重要な時代だと思います。
店舗という環境に、もし今日一日、商品が無くとも、お金を使うスイッチを
入れてお客様に来店いただける理由がありますか?もしかしたら、VMDを
行う理由とは、今の時代には、こんなところが重要なんじゃないのかと、
また強く確信する、ひと時でした。
皆さんの店舗には、もし商品が並んでいなくとも来店したくなるような理由
がありますか?いかがでしょうか?
深澤 智浩
株式会社深澤企画 代表取締役
パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。