伝説のVMDメルマガ「仕事と作業の分かれ道について語る」
みなさんご無沙汰しております、深澤です。
「愛あるブランディングを語る店」PAL’S Bar今月も開店です。
お店には表立って活躍するカッコイイ業界人は集まらないのですが、
日々、夜を徹してお客様の為に活躍される汗と涙の似合う小売関係のお客様を私のお店に招いて、
一杯やりながらお仕事についてブ熱ーーーいお話を伺い、
ちょっとだけ皆さんにその内容をお届けするという趣向のメールマガジンです。
もし50回続いたら、リアルに何所かに PAL’S Barを作る野望もありますので
是非、職場内、お友達、親類縁者にご紹介頂き、
ブログ全盛期の世の中でひっそりと続けていけるようにしたいと思いますので、
宜しくお願い致します。では、時間ですので、そろそろ開店します。
GUEST NO.10 「仕事と作業の分かれ道について語る」
バタンッ(ドアの開く音)
「いらっしゃいませ」(私、以下Fで)
「こんばんは、深澤さん」(以下W)
「どうも、いらっしゃいWさん」
<ゲストの紹介>
Wさんは某アパレルの社員教育担当で、私はVMDと社員教育のお手伝いを
させていただいております。
F:「いやーいらっしゃいませ、いつも本当にありがとうございます。今日
はオゴリますのでごゆっくり。」
W:「ありがとうございます。」
F:「じゃー何しましょうか?」
W:「そうですね・・・・ビールでお願いします。」
F:「了解しました。最近の調子はいかがですか?」
W:「・・・・うーーーん何事にも意識の低いスタッフが多いですね・・・」
W:「どうしてでしょうか?セールストークもVMDも本部発信で毎月、毎
週、全店舗に送っているのですが、店舗を見て回ると、それらが全然利
用されていなかったり、指示書すら見てなかったり・・・・・」
「せっかく深澤さんと一緒に、クオリティーの高い資料を送ってると思
うんですけどね。。。」
F:「わかります」
W:「あと、逆に知識ばかりが先に行ってしまって、なんとなくお客様への
ホスピタリティーの薄いスタッフもちらほら出てきているような感じも
するんですよね・・・・」
W:「どうしたらいいんでしょうか・・・・?」
「やればやるほど、何だかわからなくなってきました・・・・・」
F:「そうですね。仕事が作業になっているスタッフさんいますもんね。」
「接客って言っても、残念ながら声出しとレジ対応だけで、お客様への
対応も作業一部といった感じなんでしょうか・・・・」
「たまに、僕のところにも『ディスプレイが好きです!!VMDの仕事
をさせて下さい』って人が来るんですが、一緒に仕事をするとすぐ分か
るんですよ!!・・・あっ、なんか違うって!!」
「ディスプレイや飾ることに興味があっても、お客様や商品に興味が無
い人なんですよね。そういう人ってお客様や商品に興味がないわけだか
ら、お客様の購入動機や商品とお客様を繋げるようなストーリーが考え
られるわけが無いんですよね。」
「飾ることが上手くても、それはVMDのスキルにはならない。結局そ
こなんだと思うんです、全てが。」
W:「何となく分かります。」
F:「たとえ商品のことに詳しくても、話が凄く上手な方でも、お客様に興
味が持てなかったら接客もただの対応だけというか・・・作業ですよね、
相手のことを考えていないという・・」
W:「そうですね。お客様に興味を持つって大切ですよネ。コンビニの店員
さんだって、何だか話しかけてくれたり、今日は早いんですね、なんて
言ってくれる人いますけど、それってお客様に対して、すごくいい意味
で興味を持って仕事をしているから出来ることですもんね。」
F:「そうだと、思います。」
「Wさんのところは、売り上げも好調ですし、客数も多い店舗ですから、
お客様や商品への興味が薄れてきてしまっているスタッフが多いんだと
思います。」
「ある意味、お客様が、カゴに商品を入れてレジまで来てくれるような
感じですから、もしかしたら、やる気の無いコンビニ店員さんと同じく
らいの感覚で働いている方もいるかもしれません。」
「ただ、皆、最初はお客様にとってのコーディネーターやスタイリスト
になりたくて、この仕事を始めたはずだと思うんですが、いつの間にか、
ただの販売スタッフになってしまった・・そんな感じでしょうね。」
W:「非常に厳しい意見ですが、その通りですね。本当にすばらしいマニュ
アルがあっても、お客様に興味が無い、商品に興味が無いそんな状態の
スタッフには、幾らがんばっても伝わりませんもんね。」
F:「興味が無いと考えようとしなくなりますからね。」
W:「そうですね。」
F:「大袈裟かもしれませんが、接客業の社員教育の基本って、お客様や商
品に興味を失わずにいることが、どれだけ自分の人生を楽しくするのか、
そしてその先に成功や喜びがあるのかを伝えていくことかもしれません
ね。」
「ここがベースとして入っていないと、いくら知識を学んでも、その知
識を正しく理解したり応用したり出来ない筈ですから。」
W:「そうですね、ましてこの部分を忘れたまま、出世したりして部下を
持ったら売り上げしか興味の無い上司や経営者にしかなれないですし、
最近の偽装なんかをする経営者なんか、やっぱり商品やお客様に全く興
味が無かった結果でしょうからね。」
F:「そうですね、売り上げしか興味の無い方、いらっしゃいますもんね。」
W:「あ――――ッ なんかやらなければならないことが見えてきましたよ。」
「深澤さん研修やりましょう!!!」
F:「いきなりですね・・・・了解しました。」
W:「こんな話をしていたら、店を巡回したくなりましたよ。ちょっと行っ
てきますね!!!じゃーー今日はご馳走様でした。」
F:「イエイエ、でも相変わらずですね。まぁ~いつでも来店して下さいね。」
W:「じゃーーまた悩みが溜まったらお願いします。」
F:「あのーーー悩み相談室ではないですからね。。。。。。」
作業と仕事、僕自身会社員時代よく言われ続けた言葉です。頭を使うのが仕
事、手と体だけを動かして頭を使わないのが作業、この2つを分けているの
は頭を使うことなのですが、それ以上に今、目の前にあることに興味を持て
るか、持てないかだと思います。
残念なことですが、やはり「この人は、商品やお客様には興味が無いんだろ
うな・・・・・」と思わざるしかない方にもお会いすることがあります。興
味があるから、そのことについて真剣に悩み考える。興味を失う、興味を失
わせることが無いように仕事をしてもらう環境を作ること、とても大切なこ
とだと思います。
これは売場作りにも通じることだと思うのですが、接客やVMD、何をする
にしてもすごい人たちは、ともかく商品にしても、お客様のことに関しても
詳しい!!商品とお客様に対して興味を持つということは、販売業の仕事を
行う上での大前提なのでしょうね。私も興味は失いたくないですし、きっと
商品やお客様に興味がなくなったら、きっと仕事にならないでしょうね・・・
ではまた来月。
深澤 智浩
株式会社深澤企画 代表取締役
パリをはじめとする海外の店舗や、国内のSM/GMSでのあらゆる店舗・売場の店舗デザイン・店頭戦略を学び、独立。現在は、小売業からの依頼に加え、メーカーからの販促提案・ショールーム展開の相談など様々な業種・業態の店頭戦略(SP・VMD・設計・店頭ブランディング)を、年間100件以上行っている。近年では、ショッピングモールやチェーンストアからの依頼も多くなっている。また、「商業界」の教育講座、デザイン専門学校、企業研修でも指導にあたり、人材育成にも注力している。